どこで聞いたかは覚えていないが、「人に期待をしないほうがいい」という話を聞いた。
曰く、”期待”はする側が勝手にしているのであって一方的な押し付けになってしまう点をあげていた。
一方で、今読み進めている書籍では、ピグマリオン効果を引き合いに出して「積極的に期待をかけるべきだ」という論調が展開されていた。
書籍自体が、ちょっと疑問を感じる論調がいくつか見受けられるのでなんとも言いづらいけれど、ピグマリオン効果とゴーレム効果という話を考えると、わからなくもない話でちょっとモヤモヤした。
何が正しいというのは、結局のところ相手があっての話ではあるし、感情を持った人間である以上はどこかで期待してしまうのもしょうがないとは思う。
現実は思うようにいかない
実際のところ、私も部下に対して成長への期待をかけたことは何度もある。技術習得や勉強に対する意欲を高めてもらいたくて、「若いうちにしっかり学んでおいた方がいい」「将来のためになる」といった話をしてきた。
しかし、期待をかけたからといって、部下が急に勉強熱心になったりするとは限らないし、仕事以外での勉強などを強制するわけにもいかない。
ワークライフバランスを重視する価値観は決して間違っていないし、プライベートを充実させることで仕事にも良い影響をもたらすこともある。
そもそも、このあたりの話題は正直出しづらいことこの上なしなのは私が臆病なだけだろうか。
「期待」という言葉への違和感
「期待」という言葉そのものに問題があるのかもしれない。
期待には、どこか一方的なニュアンスがある。「こうなってほしい」「こうあるべきだ」という思いが前面に出てしまい、相手の意志や状況を十分に考慮できていない場合が多い。結果として、期待は相手にとって勝手なものとなってしまいがち。
また、期待には結果を求める側面が強い。「期待したのに応えてくれなかった」という失望につながりやすく、お互いにとって不幸な結果を招くこともある。
「後押し」というアプローチ
そこで私が辿り着いたのは、「期待」ではなく「後押し」というアプローチだった。
後押しとは、相手が一歩踏み出したくなるような環境やきっかけを提供することだ。結果を強制するのではなく、選択肢を示し、相手の意志を尊重しながら、成長の機会を作ることに重点を置く。
具体的には以下のような方法が考えられる:
情報提供の工夫 「勉強しろ」と直接言うのではなく、「参考までに」「興味があったら」という前置きで、セミナーや勉強会の情報を共有する。
成功体験の共有 先輩社員の成長ストーリーを自然な会話の中で話し、「こんな道もあるんだな」と感じてもらえるような機会を作る。
小さな成長の承認 些細な改善や努力も見逃さず、適切に評価する。自信がつくことで、次のステップへの意欲も生まれやすくなる。
環境整備 学習しやすい環境を物理的・制度的に整える。時間の確保、予算の手当て、上司としてのサポート体制など。
ここに上げたような内容を、Teamsに最近組み込まれたストーリーラインを使って勝手に垂れ流してみようと考えている。
大々的に周知しているわけではないのだが、徐々にそれらの土壌が作られてくるとそういった文化の情勢が出来るのではないかと考えている。
さてはて、どうだろうか。
相手のペースを尊重する
後押しのアプローチで大切なのは、相手のペースを尊重することだ。すぐに結果が出なくても焦らず、長期的な視点で関わり続ける姿勢が重要になる。
これは「期待しない」ということではない。むしろ、相手の可能性を信じているからこそ、時間をかけて丁寧に関わろうとする行為だ。一方的な期待とは質的に異なるアプローチと言える。
ただ、これを続けるのも難しいだろうなとも思う。
正直効果が見えないんですよね。
最後に
書籍を読みながらモヤッとしたところから考えを進めていって、とりあえず形にしてみたけれど、このアプローチが果たして良い結果につながるかはわからない。
とはいえ、特定の相手に対して直接発言する場面を作りつつ、ストーリーラインのように不特定多数に発言するという両面で進め、管理職として部下と向き合う上で、今後も「後押し」の質を高めていきたいと思う。